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おわりに

岸本
僕が今一番興味のあるのは、科学と哲学の関係。それから禅ですね。西田幾多郎とか、禅の本とか、それから空海とか、こういう本を読んでいて、やはり矛盾がないのですよね。哲学的に考えている。
朝川
なるほど。
岸本
こうしなさいっていうのはなくて、決めつけがないのですよ。
つまり、仏教とか禅というのは、テーゼがないのですよ。すべて自分で悶々と考えて解決しろというのが仏教の思想なわけです。禅なんてまさにそうでしょう。
朝川
一番優しそうに見えて、一番厳しい教えかもしれないです。
岸本
そう、厳しいですよ。何かに頼れない厳しさです。
朝川
そうですね、もう答えがあったほうが楽なのに。確かに答えがないものを探すというのは、経営も同じようなものですね。
岸本
答えがないのはね、未来を考えると当たり前なのですよ。
朝川
そうですね。
岸本
青い鳥なんかいないのですよ。
朝川
いないですね。青い鳥がいたらいいなと思いながら、ずっと探し続けるみたいなもので。
岸本
だから、自分でつくらないといけない、青い鳥を。青い鳥をつくれるのもリーダーなのですよ。
朝川
そうですね。私も 50 になって、もう一回、自分の指針をきちんと見据えて、そこからマイルストーンをつくったうえでさらに道をつくってみたいと思ったのです。
岸本
あまり長く活躍しないほうがいいですよ。やはり、長くなると腐るからね。本田宗一郎は早くさっとやめたでしょう、あれは立派ですよね。
朝川
はい。早く私の首をとってもらえる組織にして、次の人たちをつくっていきたいです。
岸本
過去の実績に頼らないで将来の新しい筋道をつくってください。道をつくらなくてはいけないですよ。
朝川
はい。そのために、まだまだ迷うことがいっぱいあるなかで、今回、先生とお会いすることで、これは自分にとって必要なものだということが再確認できたと思っています。ありがとうございました。
岸本先生


岸本先生 プロフィール

岸本 光永(きしもと こうえい)
1943 年生まれ、統計学者。ソニー㈱、コスモ証券㈱エコノミスト、㈱日本金融システム研究所社長、 Ernst & Young Consulting を経て、大阪経済大学大学院教授、立教大学大学院教授などを歴任。執筆活動や社会人教育(クリティカルシンキング、アントレプレナー育成)などを精力的に活動した。